海外旅行前に知っておきたい医療情報

インフォームド・コンセントを原則とする海外では「病気がない」という情報も必要

海外へ渡航する際には重要

現在、医療機関で治療を受けている持病がない方でも、旅行用の診断書は有用です。脳卒中や心筋梗塞は前兆無しに発症する場合もありますし、また旅行先で事故に巻き込まれないという保障はありません。

日本国内であれば本人や家族、友人から健康上について詳しく聞くことができても、海外を単身旅行中に意識不明に陥ってしまっては、現地の医師は情報を得るすべがなくなってしまいます。

インフォームド・コンセントを原則とする海外では、アレルギーの情報が得られないというだけでも薬を処方してくれない場合もありますので、本人の健康状態についての情報はとても重要なのです。

「特に治療中の疾患がない」、「アレルギーがない」、「エイズなどの感染症にかかっていない」ことも緊急時に対処する医師にとっては大事な情報になります。また、滞在先では輸血を受けたくない、最悪の事態を迎えた場合には過剰な延命措置を望まない、移植用に臓器を提供したいという希望がある場合には、アドバンス・ディレクティブ(事前指示書)と呼ばれる文書でその希望を表明することも可能です。

事前指示書は、本人が意思決定できない状態に陥った場合に行われる医療行為について指示を記した文書のことで、Living Will(リビングウィル)とDurable Power of Attorney(医療判断代理委任状)の2種類があります。

「リビングウィル」は自分に対して行われる医療行為についての希望を記します。少しでも寿命を延ばすために必要な医療手段はすべて行ってほしいと希望するか、延命措置を施されてまでも生き延びたいとは思わないのか、あるいは回復の見込みがないと判断されるまで手を尽くして欲しいのか、希望する内容は個人によって異なります。

また、死後の臓器提供を希望するか否かといったことや、通常の遺言状と同様に財産の相続や葬儀の方法等について記入することできます。リビングウィルは法的な効力を持つ文書ですから、滞在先の法律に従っていなくてはなりませんので短期の旅行には向きません。長期の滞在で必要であれば、滞在先の法律を確認して作成することになります。

もう一つの「医療判断代理委任状」は本人に対する医療行為に関連する決定を行うために代理人を指名するための文書です。リビングウィルとは異なり、実際の意思決定は指名された代理人が行いますので、自分が信頼でき、かつその役目を積極的に引き受けてくれる人を選ぶことが大切です。また自分の希望について事前に詳しくを話をして、理解しておいてもらうことが必要です。