海外旅行前に知っておきたい医療情報

搬送方法、付き添いの医師・看護師、料金などの説明を受け、納得してから契約しましょう

セカンドオピニオンも求めましょう

海外旅行で重症な疾患や怪我をして、航空機による医療搬送の必要性に迫られることは、本人や家族にとってもほとんどが予期せぬ初めての出来事でしょう。

そのような状況にあって安易な業者(アシスタンス会社、保険会社等)の言うがままに契約をして、取り返しのつかない事態になるケースも少なくありません。

少なくとも@搬送医師と看護師の所属や経歴、A搬送方法と期間、Bその根拠、C料金に関して十分な説明を受け、納得できない点は、改善を申し出ることも必要です。これを怠って、アメリカの会社から「キャッシュで搬送費用の2000万円を払うか、この場で安楽死か」という無茶な選択を迫られたケース(幸い、日本旅行医学会の活動医師グループのチームで無事に搬送&費用は1/3)、搬送中の重症化や死亡に至ったケースなどがあります。

搬送スタッフの事前チェックポインとは、「日常診療で重症患者を扱っている麻酔科医かICU専門医であること」「ICU勤務の看護師であること」の2点です。搬送方法とその根拠に関しては個別のケースによって異なりますが、「一般医学の常識に逸脱していないか」に尽きます。疑問点があれば、書類に残しておくことが役立つことがあります。料金に関しても、その根拠を明示してもらうことが絶対に必要です。

業者の中には、今日でも「この先かかる費用に関しては、○×が責任を持って支払います」という白紙委任状にサインを迫るケースがあります。一般社会では、白紙委任状へのサインで後々莫大な債務を背負わされるケースがありますが、医療搬送でも「白紙委任状にはサインしない」という一般社会常識を無視しては危険です。更に「搬送患者○×△が搬送中に死亡しても、一切貴社には責任を問いません」という責任放棄書類にサインを強要する社会通念上、極めて常識を外れた業者もいます。このようなことが現実に起こっているのが日本人搬送の現状です。

搬送医師・看護師の質や判断力で患者の余命が左右される重症医療搬送では、がん治療や心臓手術と同様に、セカンドオピニオンを積極的に求めるべきです。日本旅行医学会では、会員やその家族に関しては、積極的に相談に応じています。一般からの問い合わせに関しても、一般的な範囲は無償で応じていますが、具体的に踏み込んだ相談は「相互守秘義務」契約に応じれば、実費にて適任医師が相談を引き受けてくれます。