海外旅行前に知っておきたい医療情報

時差が5時間以上ある国へ行く場合、インスリンの調節が必要となります

注射時間を予め計画しましょう

インスリンを注射しながら海外旅行に行く糖尿病の患者さんはたくさんいます。海外旅行が初めての方は不安があるかと思いますが、必要な準備と対策を立てれば、楽しいたびになるはずです。

アメリカやヨーロッパなど日本との時差が5時間以上ある国に旅行する場合には、インスリンの調節が必要になります。旅行スケジュールや飛行機の時間、機内食の時間を確認し、どの機内食が日本時間のどの食事に該当するのかが分かれば、インスリン注射を行うタイミングや単位を調整できます。

機内では寝る時間もありますので、中間型や持効型のインスリンの注射時間も計画が可能です。出発前に主治医と相談し、インスリン注射の計画を立てておけば対応できるでしょう。

なお、糖尿病の患者さんは機内食が他の搭乗客と違うメニューになったり、別々に運ばれたりすると思いますが、事前に希望すれば糖尿病食を予約できる航空会社もあります。

機内でインスリン注射をする場所を考えた場合、トイレを選ぶ方が多いかと思います。機内のトイレは、食事の前後に混雑しますので、トイレに近い座席、可能ならば窓側よりも通路側の座席を予約しておくと楽かもしれません。

搭乗手続きの際に、インスリン製剤をスーツケースなどに入れて預けてしまうと凍結してしまう恐れがありますので、必ず機内に持ち込みます。また、熱帯気候の地域へ旅行する際には、熱から守るための保冷バッグなどが必要となります。

海外旅行中は普段と違うなれない場所で注射することになるので、うっかり落としてしまい失敗するケースも少なくありません。また、単純に紛失や盗難のリスクもありますので、インスリンは分けて持ち歩いたり、予備の本数と注射針、消毒綿を準備しておきましょう。

2001年の同時多発テロ事件以降、機内への持込物の制限やセキュリティチェックが厳しくなりました。セキュリティチェックや入国審査の厳しさは航空会社や旅行先によって異なりますが、診断書にインスリンの名前が記載され、その内容と実際の薬の一致が確認できない場合はトラブルになることもあります。診断書も簡易なものから指定の診断書の提示が必要な場合までさまざまですので、早い段階で航空会社や旅行代理店に確認しておくことが大切です。

海外旅行先でインスリンを入手することは一応可能ですので、万が一に備えて診断書とインスリンのパンフレットを現地の病院に持参できるようにしておくとよいでしょう。ただし、日本の医療保険は使えないので、医療費は全額自己負担となります。

なお、海外旅行中は外食中心となり、スケジュールが遅れる場合もありますから、低血糖の対処や準備(ブドウ糖や捕食の携帯など)も忘れないようにしましょう。