海外旅行前に知っておきたい医療情報

強い腹痛や嘔吐、高熱を伴う場合は感染性が疑われますので、病院を受診しましょう

出血、痙攣がある場合も危険です

衛生状態が決して良いとはいえない途上国などを旅行中に下痢をすると、すぐに感染症を疑ってしまいがちですが、むしろそれ以外が原因であることのほうが多いとされています。

ノルマや人間関係などでストレスが貯まる職場を離れての海外旅行はリラックスできる反面、旅行の準備、そのための無理な仕事や家事、移動の機内やバスでの窮屈さ、言葉の通じない国での緊張感などから知らず知らずにストレスに晒されてしまい、それが原因となって旅行中に下痢をする人は少なくありません。

ストレスと下痢の関係は、ストレスによって腸管が刺激され、腸管の蠕動が亢進し、腸管内容物の水分が大腸で吸収されないまま便として排出されるのが原因と考えられています。一旦下痢が起こるとそのストレスも加わり、ますます下痢をしやすくなる場合もあります。

また旅先での食事内容や飲料水も原因となります。欧米の脂質の多い食事内容、油をふんだんに使った中華料理、スパイスの聞いた東南アジアのエスニック料理、唐辛子を多く使用する韓国料理などは、腸管の蠕動を亢進するので、日本人にとって下痢をしやすい食事環境といえます。また日本の軟水に対して、海外では硬水を飲料水として使用しているので、それにより下痢をすることがあります。

ストレス性や食事などの環境の変化による下痢では、急いで病院を受診すべきほどの状態ではありません。しかし細菌、原虫、ウイルスなどによる感染性の下痢が疑われる場合には、経過によっては悪化する可能性があり、注意が必要です。

24時間に4回以上もしくは8時間に3回以上の下痢やそれに加え、強い腹痛や吐き気・嘔吐、高熱を伴うものは、病勢が強い可能性があることや脱水の恐れがあるので、病院を受診したほうがよいでしょう。1日10回以上の下痢、出血を伴っている場合は、痙攣がある場合は直ちに受診すべき状態です。

ストレスが原因で日頃からおなかの調子がすぐに悪くなる人は、日本から整腸剤などを持参するようにしましょう。またヨーグルトなど乳酸菌を含む食べ物を意識的に摂取するのもよい方法です。旅先での食事は旅行の楽しみの一つですから、日本食ばかり食べているわけにはいきません。ただし、常に腹八分目を心掛けるようにしましょう。特に刺激の強い食事内容の場合は、注意が必要です。飲料水も軟水かそれに近いものを摂取しましょう。

感染性の下痢に対しては火を通していない魚介類、肉類、生野菜などは勿論、レストランなどで出される水に入っている氷もできるだけ避けるようにしましょう。

下痢になってしまった場合は十分な水分の摂取が必要です。その際、水だけよりも塩分を含むものが良いですが、特にスポーツ飲料などを飲むことが勧められます。ペットボトルや缶は荷物になる可能性が高いので、水に溶かして飲む粉末タイプのものを持参すると重宝します。食事は刺激の強いものは避け、スープや柔らかくしたシリアルなど消化のよいもの摂るようにしましょう。整腸剤やヨーグルトなどの摂取も腸の働きの改善に役立つ可能性がありますので、下痢の改善を期待できます。