海外旅行前に知っておきたい医療情報

火を通していない魚介類・肉類・野菜類を避けて、生水は飲まないようにします

ミネラルウォータを買って飲む

細菌、ウイルスが付着した食品、自然毒などが含まれた食品を食べることに起因する、急性の下痢、王と、腹痛、発熱などの胃腸炎症状を主とする健康被害を「食中毒」といいます。

しかし、食中毒の原因となる最近やウイルスの中には糞口感染という形でヒトからヒトへ感染して、感染性胃腸炎を引き起こすものもあります。また、旅行に関連して起こる下痢症には、寄生虫が原因微生物となることもあります。

ここでは旅行中に微生物に感染して起こる胃腸炎(食中毒、感染性胃腸炎、寄生虫による腸炎≒旅行者下痢症)について説明します。旅行者下痢症の原因微生物として頻度の高いものは、病原性大腸菌、サルモネラ、カンピロバクター、腸炎ビブリオ、ノロウイルスなどです。

血便や発熱の有無、下痢・腹痛の性状が鑑別診断上重要な症状となります。水様便が主な症状である毒素原性大腸菌やノロウイルス、寄生虫感染症の1つであるジアルジアでは、発熱や血便を呈することは稀で小腸型と呼ばれています。

それに対し大腸型のサルモネラ、カンピロバクターでは血便や発熱を伴うことが少なくありません。また、腸炎ビブリオでは激しい上腹部痛が特徴で、暑い時期に生の魚介類を食べることが原因となりやすいことが知られています。便の色に関しては、緑色便はサルモネラ、ロタウイルスでは白色便が特徴とされています。

食中毒の患者さんを診察するうえで最も重要なことは脱水兆候の有無です。皮膚や舌、脇下の乾燥、尿量の低下、眼のくぼみ、起立性低血圧などの所見が有用で、軽度の脱水があればWHOで推奨されているORS(経口補水液)を使用します。市販のポカリスエットやアクエリアス等のスポーツドリンクでも代用できますが、糖分に比べてナトリウム濃度がやや低いので、塩分を少し補ってやる必要があります。

海外旅行先で食中毒を予防するには感染経路を断つことに尽きます。すなわち、生もの(火を通していない魚介類、肉類、野菜、カットフルーツ、生卵)を口にしない、手洗いをよく行うことです。途上国の水道水は微生物に汚染されていることが多く、飲料水には適していません。1分沸かしてから飲むか、ミネラルウォーターを買って飲みましょう。

食中毒の潜伏期は数日間から数日以内が多く、しばしば旅行中に発症するため、せっかくの旅行を台無しにしかねません。旅行前の体調管理と旅行中のリスク回避が重要となります。